障害年金制度とは

障害年金制度とは

障害年金はどんな人が請求できる?

障害年金は必ずしも「“寝たきり”状態でなければ受け取れない」というわけではありません。障害年金の請求が可能な傷病の一例は下記のとおりです。

 

うつ病・統合失調症・認知症などの精神疾患

発達障害・知的障害・ダウン症・てんかん

がん・糖尿病・人工透析・心臓疾患

脳血管疾患(脳卒中・脳梗塞など)

交通事故やケガによる障害(肢体・高次脳機能障害など)

※上記の傷病であれば必ず障害年金の認定が受けられるわけではありません。

 

また、「働いていると請求が出来ない」と誤解されることもありますが、決してそんなことはありません。所得制限があるのは「20歳前傷病」のみです。

 
 

障害年金にはどんなものがあるの?

障害年金には「①事後重症請求」「②認定日請求」「③20歳前傷病請求」「④初めて2級請求」「⑤障害手当金」の5種類があります。

 

①事後重症請求

障害認定日(基本的には初診日から1年6か月経過したとき)には、それほど重い傷病ではなかったが、時間の経過とともに段々と症状が悪化してきた場合です。現在の症状をもとに請求手続きを行います。こちらの請求方法が最も多いですが、65歳未満でなければ請求出来ない点に注意が必要です。


②認定日請求

障害認定日時点ですでに症状が重く、障害年金に該当しうる状況であった場合に行います。事後重症請求は遡って認定を受けることは出来ませんが、認定日請求が認められた場合は最大5年間遡って支給を受けることが出来ます。

ただし、いくら症状が重かったとしても、障害認定日後3か月以内(20歳前傷病の場合は20歳前後の3か月間)に診断書の検査項目を網羅した検査を受けていなければ、こちらの請求は出来ません。

その他、事後重症請求と違い「障害認定日」時点の状況をより正確に証明しなければならないので、非常に労力のいる請求方法です。


③20歳傷病請求

先天性の障害や年金に加入していない期間に初診日があることを診断書等で証明できた障害がある場合に、20歳の誕生日の前日から請求可能な障害年金です。大きな特徴としては「納付要件が必要ない」ところです。

また「20歳傷病請求」は「障害基礎年金」のみです。つまり障害基礎年金1~2級の認定基準をクリアしなければ受け取ることが出来ません。

他の障害年金には無い「所得制限」があるのも特徴です。所得金額によっては、年金額の2分の1停止や全額停止になります。


④はじめて2級請求

「はじめて2級請求」とは、初めに負った傷病のみでは障害年金の等級に該当しないが、新たに負った傷病と併せると障害等級2級以上に該当するだけの重さになる場合、つまり複数の傷病を併せて障害等級2級以上に該当するときに行います。

「初めの傷病」の加入要件・納付要件は問われませんが、一度も2級以上になったことが無いことが条件です。「後の傷病」の初診日・納付要件・加入していた年金制度等に基づいて手続きが進められます。

ここで注意が必要なのが、「初めの傷病」の初診日が厚生年金(共済組合)で「後の傷病」の初診日が国民年金だった場合は「障害基礎年金」となります。「初めの傷病」のみで障害厚生(共済)年金3級に該当する場合、そちらの方が年金額が多いケースもありますので、どちらがご自身にとって優位か選択することとなります。


⑤障害手当金

「障害手当金」は、初診日が厚生年金期間の方で、障害等級3級に満たない場合に支給される一時金です。こちらは一時金ですが、初診日や納付要件など確認しなければならない事項は他の障害年金手続きと同様です。また、初診日から5年以内に症状固定していることが条件です。

 
 

請求するにはどうすればいい?

先に紹介したような傷病をお持ちの方が、障害年金の請求を行うためには「①初診日」「②納付要件」「③日常生活の状況」「④診断書の内容」のチェックが必要です。

 

①初診日

該当する傷病について“はじめて”病院を受診した日です。障害年金請求において「初診日」の特定は最重要項目です。初診日を含む月に国民年金の被保険者であれば「障害基礎年金」厚生年金の被保険者であれば「障害厚生年金」共済組合の被保険者であれば「障害共済年金」が支給されることとなります。

障害年金の請求を検討されている方は、まず“はじめて”行かれた病院が何処の病院だったかをあらかじめお調べいただけると、その後の手続きの流れがスムーズです。

 

②納付要件

「ご契約までの流れ」とも重複しますが、納付要件は下の2つのうち当てはまる方で確認します。

○初診日の前日において、初診日がある月の2か月前までの被保険者期間のうち、未納期間が3分の1未満であること。

○初診日の前日において、初診日がある月の2か月前までの直近1年間に未納期間がないこと。(ただし、初診日が65歳未満の場合に限る)※例外あり

たとえ障害年金の請求が可能な傷病であり「初診日」が特定されていても、納付要件がいずれにも該当しない場合は、残念ながら障害年金請求は出来ません。現在とくに傷病が無い方でも、いつご自身が傷病を負うか分かりません。日頃より年金は未納が無いようにしておきましょう。

 

③日常生活の状況

こちらは障害年金請求に必要な「病歴・就労状況申立書」という書類を作成するために必要な事項です。この書類はご自身の日常生活で、いかに不便を感じているかをアピールするものですので、ご自身でご記入いただく書類です。発症~現在までの傷病と日常の内容を作文のように作成します。

とはいえ、こちらも診断書と同じぐらい重要な書類で、診断書の内容が重たくても、日常生活の内容をしっかりと書かれていなければ認定されません。代行依頼をされる場合は、社労士がご本人様に代わって作成します。

 

④診断書の内容

こちらは皆様もご存じだと思いますが、医師にご記入いただく書類です。障害年金には「事後重症請求」と「認定日請求」があります。

「事後重症請求」の場合は「現在」の傷病の程度を検査し記入いただきます。「認定日請求」の場合は「認定日(初診日から1年6か月後※例外あり)」の傷病の程度と「現在」の検査結果を記入いただきます。

つまり、「事後重症」は診断書1枚、「認定日請求」は認定日から1年以内は1枚、1年を超える場合は2枚診断書が必要となるのが基本です。障害年金に使用する診断書の検査項目は非常に多いです。なかなか日頃の検査内容では網羅しきれないので、場合によっては診断書に沿った検査を受けていただく必要があります。障害年金を請求するうえで必ず通らなければならない項目なので、ご理解いただければと思います。

「③日常生活の状況」でもご説明させていただいた通り、こちらも非常に重要な書類です。障害年金の認定医は直接ご本人にお会いすることはありません。書面の内容だけを見て認定の可否を決めるのです。なので「診断書」と「病歴・就労状況申立書」の内容に矛盾がなく、統一性があり、症状が障害年金の認定レベルに達しているかをチェックします。

「③日常生活の状況」とは逆に、いくら「病歴・就労状況申立書」で相当な不自由を伝えたとしても「診断書」の検査結果が軽度と判断された場合は、同じく不支給となります。そうならないためにも、医師にしっかりとご自身の症状を伝えて、“正確な診断書”を作成してもらいましょう。

障害年金はいくらもらえるの?

前述のとおり、障害年金は「初診日」にどの年金制度に加入していたかで貰える年金が変わってきます。障害年金の種類と金額は表のとおりです。

 

【 障害年金1級 】

①障害基礎年金 1,039,625円 + 子の加算
②障害厚生(共済)年金 報酬比例部分の年金額×1.25 + 配偶者の加算

 

【 障害年金2級 】

①障害基礎年金 831,700円 + 子の加算
②障害厚生(共済)年金 報酬比例部分の年金額 + 配偶者の加算

 

【 障害年金3級 】

障害厚生(共済)年金 報酬比例部分の年金額
(最低保障額:623,800円)

 

【 障害手当金(一時金)】

障害厚生(共済)年金 報酬比例部分の年金額×2.0
(最低保障額:1,247,600円)

※上記金額は「令和7年度」の年金額になります。
※「報酬比例部分の年金額」は厚生年金保険(共済組合)の被保険者期間が“300月(25年)未満”の場合は“300月”として計算します。

 

【 子の加算 】

障害基礎年金 第1子と第2子:239,300円
第3子以降:79,800円

※18歳到達の年度末(3月31日)を経過していない子または20歳未満で障害年金の障害等級が1級または2級の子がいる場合に加算されます。

 

【 配偶者加給年金 】

障害厚生(共済)年金 239,300円

※生計を同じくする年収850万円(所得655.5万円)未満で65歳未満の配偶者がいる場合に加算されます。
※配偶者が加入期間20年以上の老齢厚生(共済)年金等を受給されている場合は支給停止となります。

 

よく障害者手帳の等級と障害年金の等級を同じとお考えの方がいらっしゃいますが、全く関係ありません。障害者手帳は各市町村が発行しているのに対し、障害年金は日本年金機構と共済組合が認定しています。

したがって、障害者手帳の等級は1~3級なのに障害年金がもらえないこともあります。厄介なのが障害者手帳の等級が4級以降の場合です。等級の基準が同じだと思い込んで、最初から障害年金の請求を諦めている方がいらっしゃいます。手帳が4級でも5級でも障害年金が認定されることも多くあります。手帳の等級に囚われずチャレンジしてみましょう!

 
 

一度認定されたら、ずっともらえる?

晴れて障害年金の認定を受けたとしても、それぞれ「永久固定」と「有期固定」が設けられています。
 

永久固定:一度認定されたら生涯支給されます。
有期固定:1~5年ごとに診断書の提出を求められます。

 

ここでは「有期固定」の注意点を紹介します。

1~5年の間隔は人それぞれ異なります。理由は「今後も症状が改善したり悪化したりする可能性のある方」だからです。とくに1年更新の方は注意が必要です。1年の場合は「経過観察」のケースがあるからです。よって次回の更新時も同じ内容の「診断書」や「日常生活の様子」であれば、支給停止になることもあるということです。つまり“悪化するかもしれない”という仮の認定を受けているようなイメージです。

また「有期固定」の方は、それぞれの更新時期に「障害状態確認届」というものが届きます。その際に「診断書」を添付して提出するのですが、障害年金請求がクリア出来たからと言って、更新時の「診断書」も内容を疎かにしてはいけません。内容によっては障害等級が上がったり下がったりします。もし下がった場合は「支給停止」になる可能性もあります。更新時の「診断書」もしっかり仕上げる必要があります。

 

以上のように、障害年金の請求については数々のステップを乗り越える必要があることと、認定を受けたからと言って安心できない面があるのは事実です。

しかしながら、障害年金を受け取ることで、よりご自身の生活が豊かになり、更なる明るい未来が見えてくるのではないでしょうか?

少しでもチャレンジしてみようかなとお考えの方は、一度ご相談ください。
皆様とともに障害年金認定に向けて尽力して参ります。

 

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